兄弟姉妹の相続の再代襲相続の可否

被相続人の兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっていて、その兄弟姉妹の子が生存している場合には、その子が代襲相続することができます。

では、さらに、その兄弟姉妹の子も同様に被相続人よりも先に亡くなっている場合、その兄弟姉妹の孫(被相続人にとってみると、甥・姪の子)がさらなる代襲相続(これを「再代襲相続」といいます。)することができるか?という問題があります。 

結論としては、被相続人がお亡くなりになった時期によって、異なってきます。

1 昭和55年12月31日以前に開始した兄弟姉妹の相続の場合

再代襲相続は可能。つまり、被相続人の甥・姪の子(被相続人の兄弟姉妹の孫)は再代襲相続することができるということです(昭和37年7月5日施行改正民法889条による887条2項3項の準用)。

なお、再代襲者の相続分は、被代襲者の法定相続分と同一です(民法901条)(株分け説)。

そして、再代襲者が数人ある場合は、被代襲者が受けるべきであった部分について、等しく相続するかたちになります(民法901条2項)。

例えば、昭和51年被相続人死亡時、被相続人に子や配偶者、両親も存在せず、唯一の法定相続人の兄も既に死亡しており、姪1人のみが代襲相続人で、その姪も死亡しており、その姪の子が2人存在しているという場合、その姪の法定相続分は2分の1ずつということになります。

もっとも、なかなか、昭和55年12月31日以前に開始した兄弟姉妹の相続を放置する案件というものもそれほどないものと思われます。

よって、通常は、下記の昭和56年1月1日以後に開始した兄弟姉妹の相続の見解(兄弟姉妹の相続の再代襲相続不可)を覚えておけば、特に当該事項を気にされる必要はないものと思われます。

2 昭和56年1月1日以後に開始した兄弟姉妹の相続の場合

再代襲相続は不可。つまり、被相続人の甥・姪の子(被相続人の兄弟姉妹の子)まで代襲相続できるにすぎません(民法889条は887条2項(代襲相続の規定)につき準用するけど、同条3項(再代襲相続の規定)は準用していないため)。

叔父様・叔母様ががお亡くなりになられ、偶然にも、ご自身が相続人の場合は、権利の保全のためにも早めに相続登記をされておいたほうがよいということですね。

相続登記の原因日付特殊事例

1 失踪宣告の危難失踪(民法30条2項※)があった場合の相続登記の原因日付は?

※危難失踪の条文(民法30条2項)

  

戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。

危難失踪があった場合の相続登記の原因日付は、危難の去った日を登記原因の日付とします(昭和37年6月15日民甲1606号)。

危難失踪の起算日を登記原因日付とするということですね(^▽^)/

2 高齢者消除(民法30条2項※)があった場合の相続登記の原因日付は?

戸籍の高齢者消除の記載があったときは、相続登記の原因日付は、高齢者消除の許可日でしょうか?それとも除籍日でしょうか?

答えは、いずれも異なります。

そもそも高齢者消除の記載があっただけでは相続登記の申請をすることができません。

なぜならば、かかる記載だけでは、死亡の年月日が戸籍に記載されていないからです。

届出により死亡の日又は失踪宣告により死亡とみなされる日が戸籍に記載された後に初めて相続登記の申請をすることができます(昭和32年12月27日民三1384号)。

☆上記以外の原因日付については⇊
相続登記申請書作成時に押さえるべきポイント10の2登記原因参照下さい!

妊娠中に不動産を相続した場合の胎児名義の登記の可否

1 シチュエーション

不動産(土地・建物)を親から相続した旦那様の法務太郎がお亡くなりに。相続人は1年前に結婚したばかりの妊娠中の奥様の法務花子。これから相続登記を申請するのですが、このような場合、奥様のみならず、胎児名義でも相続登記の申請をすることができるのか。

2 根拠条文

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす(民法886条1項)※。

※「既に生まれたものとみなす」との法文の意味(『民法(9)相続[第3版]40頁 有斐閣双書』)

➀ 停止条件説

 

胎児の間は相続能力はなく、出生に生じた権利能力が、相続に関する限り相続開始の時まで遡るという考え方。すなわち、生まれることを停止条件として相続能力が認められるという考え方。

➁ 解除条件説

 

「胎児自体に相続能力を認めるが、死んで生まれた時は遡及的にその効力を失わしめる」ことにする考え方

3 登記実務は解除条件説を採り、胎児名義を肯定

判例・通説は停止条件説をとっておりますが、登記実務は解除条件説を採っております。

すなわち、胎児名義での法定相続分による共同相続名義(上の例でいくと、奥様法務花子と胎児の共同相続名義)を認めております(明治31年10月19日民刑1406号、昭和29年6月15日民甲1188号)

胎児の名義はどうなるのでしょうか?こちらは、登記実務上、型がありまして、上の例でいくと「亡法務太郎妻法務花子胎児」となります。

つまり、➀「亡」の後が、「お亡くなりになられた方のお名前」、➁その次に「妻」のお名前、➂その後に「胎児」という順番に決まっております。

かなりベタな名前ですが、登記実務上、決まっているので致し方ありません(平成21年2月20日法務省民二第500号・不動産登記記録例191参照)。

なお、その後、胎児が無事出生した場合、上記の胎児名義をそのままにしておく訳にはいかないので、いわゆる「名変登記」、所有権登記名義人住所、氏名変更登記を申請しなければなりません(平成21年2月20日法務省民二第500号・不動産登記記録例602)。

一方、胎児名義を含めて相続登記申請後、死産した場合は、胎児を除いた他の共同相続人の名義とする所有権更正登記(上記の例でいうと奥様の単有名義)を申請します(平成21年2月20日法務省民二第500号・不動産登記記録例240)。

4 実際の胎児及び奥様名義の相続登記の申請方法

胎児が自ら相続登記を申請することはできないので、かかる場合には、奥様が胎児に代わって登記を申請することになります(未成年者の法定代理の規定が胎児にも類推適用されます)。

もっとも、胎児の出生前においては、死産する可能性もあり相続関係が未確定の状態にあるため、胎児のために遺産分割その他の処分をすることはできません(昭和29年6月15日民甲1188号参照)。

嫡出子と非嫡出子の不動産登記実務上の法定相続分の取扱い

1 平成13年(2001年)7月~平成25年(2013年)9月4日までに開始した相続の登記申請方法

(1) 旧民法900条但書前段の規定(非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1)を前提として既になされた遺産分割協議、遺産分割の審判、裁判等が確定している場合、遺言がある場合

  

旧民法900条但書前段の規定(非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1)を前提として既になされた遺産分割協議、遺産分割の審判、裁判等が確定している場合、遺言がある場合は、それらに従って登記事務を処理する(平成25年12月11日民二7811号)とのことなので、既になされた遺産分割協議書、遺産分割審判書、遺言書等を登記原因証明情報の一部として相続登記申請時、管轄法務局に提供すればよろしいということです。

(2) 遺産分割協議、遺産分割の審判、裁判等がされていない場合、遺言がない場合

  

遺産分割協議、審判等がされていない場合、遺言がない場合は、法定相続分となり、かかる場合は、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同等であるものとして登記事務を処理する(平成25年12月11日民二7811号)となっております。

よって、このような事案の場合は、等しい割合の相続分を相続登記申請書に記載して登記を申請することになります。

2 平成25年(2013年)9月5日以後に開始した相続の登記申請方法

改正後の民法900条の規定が適用され(民法改正附則2項)、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等とされるので、このような事案の場合は、等しい割合の相続分を相続登記申請書に記載して登記を申請することになります。

なお、半血の兄弟姉妹と全血の兄弟姉妹の法定相続分には、上記の嫡出子と非嫡出子の法定相続分とは異なり、これまで通りなので、半血の兄弟姉妹の相続分は、全血の兄弟姉妹の相続分の2分の1です(民法900条4号)。

固定資産税評価証明書は添付必要なの?

固定資産税評価証明書は、不動産登記法上、規定のない書類です。

よって、添付する必要ないという結論になりそうです。

しかしながら、登記実務上、要求されております。

本来は、管轄法務局が調べるべき事項なのですが、申請人側に提出をさせているのが現状です。

もっとも、固定資産税評価証明書を添付する法令の根拠がないため、固定資産税課税明細書や課税通知書、
でも代用可能な場合も多いと思います。

もっとも、本サイトにも記載させて頂いているとおり、課税明細等には必要事項が登載されない物件も
ありますので、その点はご注意下さい。

念のため、登記申請前に固定資産税評価証明書の代わりに固定資産税課税明細書等を添付してよいか否か、管轄法務局にお問い合わせをして頂くのもひとつの方法かもしれません。

法定相続分について

1 昭和56年1月1日~平成25年9月4日の間に被相続人が死亡した場合

第1順位配偶者2分の1
(夫又は妻)
直系卑属2分の1
(実子、養子)
第2順位配偶者3分の2
(夫又は妻)
直系尊属3分の1
(実親、養親、祖父母)
第3順位配偶者4分の3
(夫又は妻)
兄弟姉妹4分の1

割印・押印の仕方

 

相続登記申請書作成時の割印・押印の仕方

相続登記申請書は、A4の紙を用いて、ワードやキングソフト等のソフトを用いて作成します。最悪、手書きでも良いですが、出来れば避けたほうがよいです。

一連の流れを説明しますと、

相続登記申請書を作成したら印刷して、相続登記申請書+印紙のページの後に相続関係説明図、遺産分割協議書のコピー、遺産分割協議に参加した方全員分の印鑑証明書のコピー、お亡くなりになられた方の住民票の除票のコピー、不動産を相続される方の住民票のコピー(法定相続の場合は、遺産分割協議書及び印鑑証明書不要)を綴って、最後にホチキスで左側2か所で止めます。

その後に相続登記申請書の押印、申請書が複数枚の場合の割印、原本還付をする場合の「上記は原本に相違ない」旨の記載と署名と押印、遺産分割協議書等のコピー間の割印の処理を施す流れとなります。

相続登記申請書1枚目の氏名の横に押印した印影を用いて割印、原本還付をする場合の押印をします(申請書1枚目に押す印鑑、申請書の綴り目や添付書類のコピー間の綴り目に押す印鑑、原本還付をする場合の印鑑は全て同じものを使用すれば良いということです。)

これらに用いる印鑑は認印で問題ありません。

以下、相続登記申請書➡添付書面に至るまで、可能な限り、割印、押印の箇所を載せております。

なお、以下「〇枚目から〇枚目」という記載は、裏面のページをカウントしておりません。基本的に裏面は使用しません(〇枚目の裏面は白紙のままで印字も割印もしないということです。)

1 不動産登記申請書1枚目に押す押印の仕方

相続を登記原因とする不動産登記申請書の最初にページに押す印鑑ですが、これは認印で問題ありません(実印を用いる必要はありません。)

申請書1枚目に押す押印の箇所
申請書1枚目に押す押印の箇所(2か所)

押印する箇所は、申請人たる相続人の住所氏名の横に押印するのと、上部等の余白に捨印として押印しておきましょう。

万が一間違いがあった場合に、法務局から電話がかかってきて、「間違いがあるので直しに来てください」と言われ、通常は法務局に行って間違いを修正しなければなりません。(これを「補正」といいます。)

捨印を押す理由ですが、捨印があると、場合にもよりますが、法務局のほうで電話の確認のみで修正してくれることがあります。

この点、通常は登記官の面前で補正をするということが基本ですから、このような神対応を決して期待してはいけません(笑)。

提出する前に、相続登記申請書を何度もチェックして(登記申請書類の作成に慣れている司法書士ですら提出する前に何度もチェックをしております。)

間違いのない申請書、添付書類を作成・提出するように心掛けましょう。

2 不動産登記申請書1枚目から2枚目に押す割印の仕方

 

登記申請書が複数枚に渡る場合、訴状と違って、ページの下部にページ数を書けば割印はしなくてよいといった取扱いにはなっていないのです(涙)
不動産の表示が多かったり、印紙台紙を独立したページにした場合は、登記申請書は複数枚に渡るでしょう。そういう場合に、訴状であれば、ページの下部に「1」とか「2」とかページ数を書けばページとページの間に印鑑を押さなくてよいのですが、登記申請書の場合はそういうわけにはいかないということです。

1枚目目を斜めに折って2枚目と重なるように押印します↓

申請書1枚目から2枚目に押す割印

 

 

 

1枚目をそのまま見ると、折り目がつきまして、裏側の印影がかすかに見えるのがわかると思います。↓

申請書1枚目➁

なお、割印の仕方ですが、折り方は、法務局の書式例のように、綺麗に縦に折って割印を押すやり方でも当然、問題ありません。↓

申請書1枚目から2枚目➁
申請書1枚目から2枚目に押す割印の仕方➁

3 不動産登記申請書2枚目から3枚目に押す割印の仕方

2枚目から3枚目の契印 2枚目をめくると↓のようになります。

3枚目は、登録免許税を印紙で納める場合の収入印紙を貼るページになります(見開き右側のページに貼ります。左側のページ(前ページの裏面)は、基本使用することはありません。)

なお、当事者の表示や不動産の件数がそれほど多くなく、不動産登記申請書が1枚に収まるのであれば、2枚目が収入印紙を貼付するページになりますし、逆に不動産の件数等がかなり多く、不動産登記申請書が3枚に渡るのであれば、4枚目が収入印紙を貼るページになります。

本サイトでは、不動産登記申請書が2枚だったため、3枚目が収入印紙を貼るページということになります(裏面はカウントしておりません)。

印紙を貼るページと言っても、専用の紙が存在する訳ではなく(司法書士事務所によっては、印紙台紙のページを独自に作成しているところも存在しますが)、ペラの白紙のA4の紙(白紙のコピー用紙等)で問題ありません。

収入印紙を貼るページは、見開き右側のページに貼ります。前ページの不動産の表示の裏面には貼りません。裏面は基本的に使用しないようにしましょう。

そちらに、1万円の収入印紙、千円台の収入印紙、100円台の収入印紙を適宜に貼り付けて終わりです。

ここで一番ポイントになるのは、消印をしてはならないということです!

本当にご注意下さい!

4 相続関係説明図は押印不要

相続関係説明図には、押印不要です。

なお「相続を証する書面を還付した」旨の記載の右横に印鑑を押すような欄がありますが、こちらは、法務局側が押すので、無視して頂いて構いません。

相続関係説明図

 

5 遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票、住民票除票の原本還付書面(これらのコピー)は原本還付の旨、割印必要

遺産分割協議書

 

ここから先は、順番はお好きなつづり順で良いでしょう。写真では遺産分割協議書が先頭にきておりますが、印鑑証明書➡遺産分割協議書の順番でも構いませんし、住民票や住民票の除票を先にもってきても構いません。

いずれにせよ、このページから原本をコピーしてそれを間髪入れず綴っていく形になりますので、写真のとおり、原本還付の文言と署名押印が必要になってきます(ゴム印を使用して記名押印でも構いません。) 。

なお、原本還付の文言を朱書で記載して(その下でも横でもどちらでも良いのですが)写真のように、登記官が押印できるような欄を作っておきましょう。

原本還付アップ

さらに、空欄に「上記は原本に相違ありません」等の振り合いで記載して、署名(記名でも可)押印をします。

原本に相違ない

 

こちらの印鑑は、申請書に押印した印鑑と同じ印鑑を用います。

なお、原本還付の文言と「上記は原本に相違ありません」及び署名押印は、原本還付書面(コピー)の最後のページに記載しても構いません。

遺産分割協議書1枚目から2枚目の割印

↑ そして、遺産分割協議書1枚目から2枚目にかけて、写真のように綴り目に割印を押します。

6 遺産分割協議書から印鑑証明書にかけて

遺産分割協議書から印鑑証明書にかけて

これまでとは異なる折り方をして割印をしておりますが、これは、印鑑証明書であることを皆様に見えるようにするためにしているだけです( ´∀` )

7 遺産分割協議書から住民票にかけて

遺産分割協議書から住民票にかけて

遺産分割協議書の写し➡印鑑証明書の写し(遺産分割協議に参加した方全員分)➡住民票の順番で綴っておりますが、住民票や住民票の除票を先頭に綴っても全く問題ありません。

8 住民票から住民票除票にかけて

住民票から住民票除票にかけて

住民票の除票は、お亡くなりになった方のものを添付します。 なお、上の写真は、住民票の除票の写しを当たり前のように添付しておりますが、登記簿上の住所とお亡くなりになった方の最後の住所が同じ場合は、添付する必要がありません(添付する必要がないということは、原本も写しも提出する必要がないということです。)。

9 住民票除票から固定資産税評価証明書にかけて

固定資産税評価証明書は、添付書類なので、こちらを原本還付しない限り、住民票除票から固定資産税評価証明書にかけて割印を押印する必要はありません。

相続登記申請書作成時の絶対に押さえるべきポイント10

相続登記申請書作成時に押さえるべきポイント10

1 登記の目的

「登記の目的」とは、登記内容のタイトルです。登記すべき権利の種類(例えば、所有権)と登記の種類(例えば、移転)の組み合わせからなります。

相続を原因として土地や建物を移転させる登記の場合は、所有権であれば、「所有権移転」。持分移転であれば、「持分全部移転」です。

相続を原因とする所有権移転に一部移転はありません。

たとえ、相続の対象となる所有権に、抵当権等の第三者の権利が登記された持分とそうでない持分がある場合でも、相続を原因とする所有権移転登記はそれぞれ分けて登記申請してはいけないことになっております(平成11年7月14日第1414号参照)。

仮にこれを許すと、亡くなった方と相続人の共有状態を公示することになり、実体上の権利変動過程を如実に公示するという登記制度の趣旨に反してしまいます。

よって、相続を原因とする所有権移転登記の登記の目的は、「所有権移転」か「何某持分全部移転」のいずれかになります

なお、この「所有権移転」なのか「持分全部移転」なのかは、相続の対象となる権利が所有権なのか、持分権なのかで変わりますが、これは通常、登記簿を見れば分かります。

例えば、Aさんが亡くなった方の権利が、例えば、持分2分の1であれば、登記の目的は「所有権移転」ではなく、「A持分全部移転」となります。

インターネットや書籍に記載されているモデル書式が「所有権移転」となっていることから、移転する権利が「持分権」なのに、真似をして「所有権移転」にしてしまう方もいらっしゃるかと思います。そうすると、登記申請後、(「申請書を修正しに法務局まで来て下さいと)法務局から電話がかかってきてしまう可能性がありますので、十分に注意しましょう。

具体例

相続を原因とする所有権に関する移転登記の登記の目的の具体的な記載方法は以下のとおりです。

◎登記の目的 所有権移転

所有権全体が移転した場合の記載方法です。

◎登記の目的 司法太郎持分全部移転

共有者の持分権が移転した場合の記載方法です。「司法太郎」の部分はお亡くなりになられた方の氏名を記載します。

2 登記原因

登記原因とは、原因である法律行為、法律事実を指します。

また、その日付も記載しなければいけませんが、登記原因が効力を生じた日となります。

(1)一般的な登記原因

相続を原因とする所有権移転登記は、死亡により権利変動が起こるため、原因は、「相続」(一部例外有り)で、効力発生日は不動産をお持ちの方がお亡くなりになられた日です(遺言書が存在する場合を除く)。

具体例

相続を原因とする所有権に関する移転登記の登記原因の具体的な記載方法は以下のとおりです。

◎登記原因 平成30年3月25日相続

一般的な登記原因の記載です。当然例外もありますが、大方こちらに該当するのではないかと思われます。

◎例外的な登記原因 ➀ 推定年月日死亡→推定年月日相続

戸籍の死亡日をご覧になって頂いて、「推定年月日死亡」と記載されている場合、登記原因は「推定年月日相続」となります。

◎例外的な登記原因 ➁ 平成年月日不詳相続

戸籍の身分事項欄に「平成年月日時及び場所不詳死亡・平成何年何月何日付許可を得て同月何日除籍」とある場合には、登記原因及びその日付を「平成年月日不詳相続」として相続の登記を申請することができます(登記研究330号・77頁参照)。

◎例外的な登記原因 ➂ 平成30年10月1日から10月8日の間相続

被相続人の死亡日時が判明しないため、戸籍上、例えば「平成30年10月1日から10月8日の間に死亡」と記載されている場合の当該被相続人の相続登記の登記原因としては「平成30年10月1日から10月8日の間相続」としてよいことになっております(登記研究337号・70頁参照)。

3 登記申請人

登記を申請する人は誰かという問題です。

(1)登記申請人はだれがなる?

相続を原因とする所有権移転登記は、亡くなった方から不動産を譲り受ける人のみが登記申請人となります。

よって、法律上、相続人となる資格がある方でも、相続放棄により、はじめから相続人とならなかったものとみなされたり(民法939条)、遺産分割協議により、(別の相続人が譲り受け、自分は)不動産を譲り受けないことになったり、相続分の譲渡により、別の相続人や第三者に相続人の地位が譲渡されたり(民法905条1項)、特別受益により、相続分を受けられず、不動産を所有することにならない場合には、相続を原因とする所有権移転登記の登記申請人とはなりません。

登記申請人にならない場合は、その方は、住民票の提出が不要となります(遺産分割協議をする場合は、印鑑証明書は必要)。

(2) 氏名及び住所の記載

今回の申請で相続登記の名義人となる方(土地建物を承継する方)の氏名と住所を記載します。

➀ 氏名

登記される字体に関してですが、正字でなされます(平成6年11月6日付民二第7005号本職通達)。したがって、相続人の戸籍や住民票通りの文字を記載しても、その戸籍や住民票の字が正字ではなく、誤字等であれば正字に引き直される場合があります。

その場合は、法務局から事前に電話がかかってくることが多いです。

なお、戸籍実務においては、俗字は俗字のままで記録することとされておりますので(平成6年11月16日付民二第7005号通達)、この点においては、登記実務と戸籍実務は乖離していると言えます。

また、登記実務においても、稀ですが、俗字等を正字に引き直すべきところ、法務局の調査係、登記官が見落としてしまい、そのまま俗字等で登記されてしまうことがあります。

➁ 住所

住民票の通り、正確に記載しましょう。

なお、お亡くなりになられた方の最後の住所が国外にあった場合、相続関係の準拠法をお亡くなりになられた方の住所地の法とすべき場合を除き、日本における居所を住所とみなします(民法23条2項)

(3) 連絡先の電話番号

平日の日中連絡のつく電話番号を記載します。こちらを記載させる趣旨は、登記申請書や添付書類に不備や疑義があった場合、法務局から申請人に連絡が取れるようにするためです。

平日の日中、自宅以外で働いている方は、固定電話に出ることは難しいでしょうから、携帯電話の番号にしておくのが無難です。

少しでも不備があれば、電話がかかってきますので、万が一に備え、登記申請後、登記が完了するまでの間、出先でも法務局からの補正の指摘に対応できるように、申請書の控えや添付書類の控えを携帯しておくと良いかもしれません(「申請書の〇〇が間違ってます。」と出先でいきなり言われても、控えがないと電話に出た際に確認できないでしょうし、また、「戸籍が不足してます」との指摘があった場合、どこからどこまでの分が不足しているのか、その場でメモを取っただけではダイレクトに理解出来ないでしょうから。)(その前提として、提出する申請書のコピー、提出する戸籍等一切の添付書類のコピーを事前にとっておくことが肝要です。)

なお、申請書及び添付書類の写しを持ち出した場合の紛失にはくれぐれもご注意下さい(相続を原因とする所有権移転登記の申請書及び添付書類は個人情報がちりばめられておりますので)。

落とし物をよくされる方は、法務局からの電話に対し、その場では、メモを取るだけにして、自宅に帰った後、補正の指摘があった箇所を確認し、理解出来なければ、法務局に電話をするという流れにしたほうが良いかもしれません。

4 添付書類

相続登記以外の登記申請時でも同様ですが、単に登記申請書を提出しただけでは駄目で、事実関係を証する添付書類の提出が必要となります。

(1) 登記原因証明情報

登記原因証明情報とは、登記の原因となる事実又は法律行為の存在を証明する情報です。

相続を原因とする所有権移転登記の登記原因証明情報は何かというと、「戸籍全般」です。具体的には、亡くなられた方の戸籍全部事項証明書、除籍謄本、改製原戸籍等で出生から死亡に至るまでの分と相続人の戸籍全部事項証明書です。

詳細については、相続登記の添付書類・必要書類をご覧ください。

5 登記完了後の書類の返却方法について

「送付の方法により登記識別情報通知書及び原本還付書類の交付を希望する」と記載しその下に「送付先の住所 申請人の住所」と記載した上、返信用封筒としてレターパックプラス(宛名は申請人の氏名及び住所をしっかりと記載)を添付して申請すれば、わざわざ法務局に書類を取りに行く必要がありません(なお、登記完了後の登記簿謄本も別途郵送又はオンラインで取得することが可能です)。

登記完了後、法務局から登記識別情報と原本還付書類が申請人の住所に戻ってきます(ただし、当然に申請人の住所に戻ってくるわけではなく、上述の記載かつ返信用のレターパックプラスを添付しなければ法務局に取りにいく羽目になりますので十分にご注意を)。

6 申請年月日

法務局に直接持参して申請をする場合は、実際に提出する日を申請年月日とします。

郵送で申請をする場合は、発送日を申請年月日として記載して問題ありません。

7 管轄法務局

相続の対象不動産の所在地を管轄する法務局に不動産登記申請書及び添付書類を提出します。申請書を提出する法務局は法務局であればどこでも良いわけではありません。不動産登記も管轄が存在します。

管轄を間違えて申請をしてしまうと,いったん申請を取り下げて正しい管轄の法務局に申請をしない限り訂正の方法はありません。

管轄違いは却下事由の一つ(不動産登記法25条1号)で、裁判所に訴えを提起する場合に提出する訴状と異なり、法務局が正しい管轄に移してくれるような移送の制度はございませんので十分ご注意ください。

管轄の調べ方としては、法務局の管轄のご案内をご覧ください。

具体的には、法務局のホームページの「管轄のご案内」をご覧いただくと、不動産登記管轄」がありますので、そちらを見て頂ければ、今回申請する申請書の対象不動産の管轄がわかります。それにより、どこの法務局に不動産登記申請書及び添付書類を提出すれば良いのかが判明するでしょう。

なお、不動産登記申請書及び添付書類の提出方法について触れておきますが、郵送で申請する場合は、調べた法務局を宛先にしてレターパックプラス又は簡易書留で返信用のレターパックプラス又は簡易書留を同封して送ることになります。

一方、法務局まで実際に出向いて申請をする場合は、場所を入念に調べた上で行くことをお勧めします。全国どこの法務局も大体同じですが、最寄りの駅から遠い場所に存在します。駅から近いのは稀と言っても過言ではないかもしれません。

「法務局の近くに路線バスがあまり走っていない、走っていても極端に本数が少ない、タクシーがあまり付近を通らない」ということが「法務局のあるある」ですので、公共交通機関を使用して行く方は十分に注意しましょう。

また、お車で行く方も都市部の法務局は法務局内の駐車場の台数があまりない場所もあり、駐車場が満車の場合、駐車場が空くまで待たなければいけないということもありますので、都市部の法務局にお車で行かれる方は法務局の近くにコインパーキング等が存在しないかも事前に調べておくとよいでしょう。

さらに、法務局の取扱い時間にも注意しましょう。

午前8時30分から午後5時15分となっております。間違えやすいのが午後5時で終わる訳ではないということです。17時15分が終了時間となっておりますので、その点も一応、頭に入れておきましょう。

8 課税価格

課税価格は登録免許税の算定の基礎となるものです。

(1) 課税価格の記載方法

課税価格は何を見ればわかるいうと固定資産税評価証明書を見るのが一番良いです。こちらの取得方法は下記で詳述しますが、東京都内であれば都税事務所、それ以外だと役所の資産税課(市町村により名称が異なります)、出張所等、固定資産税評価証明書発行を担当している部署で取得が可能です。1個の土地・建物の発行につき、200円から400円程度です(市町村により異なります。)。

なお、固定資産税(土地・家屋)納税通知書に添付または同封している「課税明細書」の「当該年度価格」等を見ても課税価格はわかる場合もあります。その場合には代用するやり方もありますが、公共用道路など固定資産税が非課税の土地等については、課税明細書に記載がされないことから、一般的には固定資産税評価証明書を取得して頂く方法が間違いがないものと思われます(なお「登記申請時には課税明細書がご利用頂けます」旨のアナウンスをしている市役所も存在しております)。

不動産登記申請書に記載する課税価格の欄に固定資産税評価額の金額を記載することになりますが、1円単位で記載するのではなく、1,000円未満(下3桁)を切り捨てます。

具体例

不動産登記申請書上に記載する課税価格の記載方法は以下のとおりです。

◎不動産の価格が金32,314,678円だった場合➡課税価格 金3,231万4,000円

固定資産税評価額証明書に記載されている不動産の価格が1円単位で載っていてもそれをそのまま記載するのではありません。1,000円未満(下3桁)はバッサリ切り捨てます。

(2) 固定資産税評価額証明書の取得方法

固定資産税評価証明書の取得についてですが、固定資産税の納税義務者の相続人であれば、取得することができます。この取得方法については2通りあります。

➀ 通常の取得方法(有料)

市町村により、固定資産税評価証明書を取り扱っている役所の部署名は異なります(例)課税課、都税事務所、市税事務所、税務会計課等)ので、取得する前に事前にインターネット等で調べておくとよいでしょう。

取得の方法は、窓口でも郵送でも取得することは可能ですが、固定資産税評価証明書は登記簿謄本と異なり、誰でも取得できる訳ではないので注意が必要です。

もっとも、本サイトをご覧になられている方は不動産所有者の相続人であると予想されますので、不動産所有者の相続人であれば、取得することは可能です。

不動産所有者の相続人が取得する際、納税義務者との相続関係が確認できる戸籍謄本等の写しの添付が必要になりますので、事前に取得しておきましょう。

手数料は、市町村により異なりますが、おおよそ200円~400円程度です。

➁ 例外的な取得方法(固定資産評価額通知書)(無料)

固定資産税評価証明書の代用手段として地方税法第422条の3による通知書(固定資産税評価額通知書)というものがあります。こちらも登録免許税算定の基礎となります。こちらは本来的に固定資産を取り扱う市町村長から法務局に通知するものなので、使途は限定され、所有権移転等の登記申請のためにだけに使用できます。取得費用は無料です。

取得の方法としては、法務局に備え付けてあるか、なければ固定資産税評価証明書を取り扱っている役所のHPをご覧になっていただき「地方税法第422条の3の固定資産評価額通知交付申請書等(役所により申請書のタイトルが異なります)の書式をダウンロードして不動産の表示等必要事項を記入し、必要書類を添付して申請をして取得します

司法書士の場合、見積書の作成等のため、こちらの方法を多用しますが、当事者本人の場合は、少し考えものです。手数料が節約できるというメリットは良いとして、取得までの時間と手間がかかるデメリットが存在する場合があるからです。

なぜならば、固定資産税評価証明書を取り扱っている役所から申請書、身分証明書、戸籍等だけでいきなり固定資産税評価通知書をもらえる市町村ばかりではなく、法務局をいったんかませないともらえない市町村のほうが多いからです。その場合には、

➀いったん法務局に行き、又は郵送で返信用封筒をつけて固定資産評価額通知交付申請書に登記官の押印をもらう。

➁そのあとに固定資産税評価証明書の発行を取り扱っている役所に行き、ないしは郵送で返信用封筒をつけて固定資産税評価額通知書をもらう。

というように、固定資産税評価通知1つ取るために「登記申請の前に法務局に行く」ないしは「登記申請の前に法務局に郵送する」という余計な作業が1つ増えることになる場合があるのです。

よって、すぐにもらえる市町村であれば利用する手はあると思いますが、そうでない場合、「時間が沢山余っている。」「200円でも節約できるならばそれでもやりたい」という方以外の方は、通常の手数料を払って固定資産税評価証明書を取得するやり方のほうが直截的でよろしいのではないかと思います。

【参考】地方税法第422条の3

(土地又は家屋の基準年度の価格又は比準価格の登記所への通知)
第422条の3 市町村長は、第410条第1項、第417条、第419条第2項又は第435条第2項の規定によつて、土地及び家屋の基準年度の価格又は比準価格を決定し、又は修正した場合においては、その基準年度の価格又は比準価格を、遅滞なく、当該決定又は修正に係る土地又は家屋の所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。

 

9 登録免許税

相続登記は無料ではありません(例外あり。下記(2)参照)。国税として一定の金額がかかります。納付方法は印紙を貼り付けて納付する方法が一般的です。

(1) 税率

相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税は課税価格の0.4%です。

もっとも、課税価格の0.4%を1円単位で記載する訳ではなく、100円未満(下2桁)を切り捨てます。

具体例

不動産登記申請書上に記載する登録免許税の記載方法は以下のとおりです。

◎課税価格の0.4%が金129,256円だった場合➡登録免許税 金129,200円

課税価格に1,000分の4(0.4%)を乗じた金額をそのまま記載するのではありません。100円未満(下2桁)はバッサリ切り捨てます。なお、課税価格は1,000円未満(下3桁)切り捨てですが、登録免許税は100円未満切り捨てで1桁違いますので課税価格と同様にしないように注意しましょう。

(2) 免税となる例外

相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記に対する登録免許税が免税とされることになりました(租税特別措置法第84条の2の3)。

数次相続といって、相続登記をしないうちにさらに相続が開始したような場合で、死亡した者を登記名義人とするために受ける所有権移転登記の登録免許税が上記の期間免税とされることになりました。

本サイトをご覧になられている方で数次相続に該当するような場合のみ気にされればよい話です。数次相続が発生していない方は特に気に留める必要はありません。

10 不動産の表示

不動産登記簿謄本通り、記載をすればよいです。土地であれば、所在、地番、地目、地積。建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。建物に附属建物がある場合は漏れなく記載します。なお、区分建物の場合は記載が特殊になるので以下を参照ください。

(1) 土地の場合の具体例

所在 上尾市〇〇二丁目

地番 8番32

地目 畑

地積 450㎡

此の不動産の価格 金〇〇円

(2) 建物の場合の具体例(附属建物なしの場合)

所在   立川市〇〇二丁目  5番地32

家屋番号 5番32

種類   居宅

構造   木造スレート葺2階建

床面積  1階 47.37㎡

2階 47.37㎡

此の不動産の価格 金〇〇円

(3) 建物の場合の具体例(附属建物ありの場合)

主である建物

所在   立川市〇〇二丁目  5番地32

家屋番号 5番32

種類   居宅

構造   木造スレート葺2階建

床面積  1階 47.37㎡

2階 47.37㎡

符号1の附属建物

種類    物置

構造    木造スレート葺平家建

床面積   3.20㎡
此の不動産の価格 金〇〇円

(4) 敷地権付区分建物の場合の具体例

一棟の建物の表示

所在 さいたま市〇〇三丁目2278番地1

建物の名称 〇〇

専有部分の建物の表示

家屋番号  〇〇三丁目2278番1の203

建物の名称 203

種類    居宅

構造    鉄筋コンクリート造1階建

床面積   2階部分 65.66㎡

此の不動産の価格 金〇〇円

敷地権の表示

符号     1

所在及び地番 さいたま市〇〇三丁目2278番1

地目     宅地

地積     4123.32㎡

敷地権の種類 所有権

敷地権の割合 802321分の7032

此の不動産の価格 金〇〇円

(5) 敷地権なし区分建物の場合の具体例(土地は賃借権等の制限物権のため、相続物件が建物のみの場合)

一棟の建物の表示

所   在    世田谷区〇〇

構   造    鉄筋コンクリート造陸屋根4階建

床 面 積     1階 〇〇.〇〇㎡

2階 〇〇.〇〇㎡

3階 〇〇.〇〇㎡

4階 〇〇.〇〇㎡

 

専有部分の建物の表示

家屋番号    〇〇一丁目〇番〇

建物の名称  〇〇〇

種   類    居宅

構   造    鉄筋コンクリート造1階建

床 面 積    3階部分 〇〇.〇〇㎡

此の不動産の価格 金〇〇円

 

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本サイトに記載がない情報については下記をご参照下さい( ´∀` )

相続登記マニア

相続関係説明図を一から作る方法

1 ワードで作成する方法

。普段ワードを使用している方であれば、線の引き方を知っていると思いますので、それを見本の相続関係説明図のように引ければ良いだけなので、普通に作成は可能でしょう。

。また、ワードを普段使用しない方でもある程度の知識があれば、簡単に作成できてしまうものですので、これを機に相続登記申請の知識と共にワードの知識も取得してしまいましょう。

相続登記の申請書のつづり順

相続を原因とする所有権移転登記の申請書のつづり順について説明致します。

つづり順については特に法定されている訳ではありませんので、「こうしなければならない」というものはないです。

もっとも、誰が見てもわかりやすい方式がよろしいかと思いますので、以下、その中で1つの例をご紹介させていただきます。

相続登記申請書のつづり順(法定相続情報一覧図の写しを添付しない場合)

相続を原因とする所有権移転登記申請書
印紙台紙
相続関係説明図
遺産分割協議書写し(原本還付書面)
印鑑証明書コピー(原本還付書面)
住民票写し(原本還付書面)
戸籍の附票又は住民票の除票写し(原本還付書面)
固定資産税評価証明書

➀から➁までのつづり目には契印(割印)が必要です。また、原本還付※できる書面を原本還付するのであれば、➃から➆までのつづり目にも契印(割印)が必要です。

※【原本還付とは】

せっかく苦労して役所で集めた住民票、印鑑証明書(注1)、戸籍の附票や住民票の除票、苦労して作った遺産分割協議書等、その申請のためだけに使用する訳ではないのに、これらの書面の原本を全て法務局に提出しなければならないとなると、申請人は再度書類を取り直したりしなければならず、時間的にも経済的にも負担となってしまいます。そこで、便宜上、法務局が原本と原本に相違ない書面(コピー)の内容が同じであることが確認できれば、不動産登記完了時に原本を返却してもらえる制度、それが原本還付です。

なお、原本還付の手続きは、登記申請書提出時にしなければなりません。よって、後から「必要だ。」と思って、登記完了後に原本還付の手続きを行おうと思ってもすることはできません(昭和36.1.20第168号)。

また、不動産登記申請の場合、商業登記申請時と異なり、不動産登記申請の際に原本還付書面を返却してもらうことはできない点を注意しましょう。実務上は不動産登記完了時の返却となってしまいます。

(注1)遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、第三者の同意又は承諾証明情報に記載した書面に記名押印した者の印鑑証明書に該当しないので(不動産登記令19条2項)、原本還付請求の対象になります『〔8訂版〕事項別 不動産登記のQ&A210選13頁 日本法令』。