相続を原因とする所有権移転登記の申請書のつづり順について説明致します。
つづり順については特に法定されている訳ではありませんので、「こうしなければならない」というものはないです。
もっとも、誰が見てもわかりやすい方式がよろしいかと思いますので、以下、その中で1つの例をご紹介させていただきます。
相続登記申請書のつづり順(法定相続情報一覧図の写しを添付しない場合)
① | 相続を原因とする所有権移転登記申請書 |
➁ | 印紙台紙 |
③ | 相続関係説明図 |
④ | 遺産分割協議書写し(原本還付書面) |
⑤ | 印鑑証明書コピー(原本還付書面) |
⑥ | 住民票写し(原本還付書面) |
⑦ | 戸籍の附票又は住民票の除票写し(原本還付書面) |
⑧ | 固定資産税評価証明書 |
➀から➁までのつづり目には契印(割印)が必要です。また、原本還付※できる書面を原本還付するのであれば、➃から➆までのつづり目にも契印(割印)が必要です。
※【原本還付とは】
せっかく苦労して役所で集めた住民票、印鑑証明書(注1)、戸籍の附票や住民票の除票、苦労して作った遺産分割協議書等、その申請のためだけに使用する訳ではないのに、これらの書面の原本を全て法務局に提出しなければならないとなると、申請人は再度書類を取り直したりしなければならず、時間的にも経済的にも負担となってしまいます。そこで、便宜上、法務局が原本と原本に相違ない書面(コピー)の内容が同じであることが確認できれば、不動産登記完了時に原本を返却してもらえる制度、それが原本還付です。
なお、原本還付の手続きは、登記申請書提出時にしなければなりません。よって、後から「必要だ。」と思って、登記完了後に原本還付の手続きを行おうと思ってもすることはできません(昭和36.1.20第168号)。
また、不動産登記申請の場合、商業登記申請時と異なり、不動産登記申請の際に原本還付書面を返却してもらうことはできない点を注意しましょう。実務上は不動産登記完了時の返却となってしまいます。
(注1)遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、第三者の同意又は承諾証明情報に記載した書面に記名押印した者の印鑑証明書に該当しないので(不動産登記令19条2項)、原本還付請求の対象になります『〔8訂版〕事項別 不動産登記のQ&A210選13頁 日本法令』。